<p>東北地方の豪雪地帯、時代と切り離されたかのような寒村。

スローライフといえば聞こえはいいが、実際は冬季には雪と格闘し、春夏秋は農作業を懸命にこなさなければならない家がほとんどだ。

だがしかし、だからこそ人間の表情には深みがあり、四季の彩りを楽しむこともできるのだった。

村会議員・高山政太郎とその家族が暮らす「おらが村」を舞台に、重厚長大な筆致で描かれる群像劇シリーズ・第2巻。

この村は若年者人口の低下や災害対策の遅れ、固定的な価値観など小さなコミュニティならば何処にでもある普遍的な問題を抱えていた。

容易には解決しないそれらをも視野に入れつつ、物語はゆっくりと進行する。

老いたる者、若き者、それぞれの想いを交錯させつつ……。

2巻の時間軸は冬の終わりから夏が始まるまで。

空を舞う燕やカタクリの群生、忙しい田植えのあとのモチつきなど、詩情あふれる情景描写、そして圧倒的な画力による大自然の描写も見所のひとつ。

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